The Astrological Society of Japan
ヘルメス大賞
ヘルメス大賞は過去3年間に出版された占星術の研究書、教本、翻訳書のうち、最も優れていたと認められる書に与えられます。
選考人
(50音順、敬称略)いけだ笑み、鏡リュウジ、賢龍雅人、田中要一郎、芳垣宗久。
過去3年間の多くの書籍リストの中から厳選な審査の結果、まず、3作品がノミネートされました。
ノミネート3作品は5つ基準で審査されます。
情報量・・・情報量が豊富か。
論理的整合性・・・情報は正しいか。主観が入り過ぎていないか。バランスがとれているか。
独自性・・・着眼点にオリジナリティがあるか。今まで誰もやっていないことか(オリジナリティであったり誰も着手していないジャンルや翻訳物)。
影響度・・・何度も参考にしたいか、引用したいか。
その他の良さ・・・上記以外の良さ。言語化できないような部分も含まれます。
この5つの基準、各5点満点
審査員が点数をつけ、投票し、最も総合得点が高かったものがヘルメス大賞となります。
第5回(2024年9月28日)
ヘルメス大賞
『アラン・レオの占星術 出生図判断の秘訣』
アラン・レオ【著】田中 要一郎監訳 黒岩 健人/田中 紀久子翻訳
太玄社刊
情報量23
論理的整合性20
独自性24
影響度23
その他の良さ21
合計111
・現代占星術を形作った占星術書。
その後の占星術教本のプロトタイプとなった本と言っていい。
内容的にはもちろん古さはあるけれど、粗削りながら「自由意志」を占星術の中に
採り入れようとする姿勢が明確に打ち出されていて、歴史的な意味でも大変重要。
邦訳が出るとは思わなかったのでとてもありがたい
・待ちに待ったテキストの日本語化。
冒頭の「占星術の合理的根拠」や、
発売年度ごとの2つの序文などを読んでいるだけでも面白い。
火のエレエメントの多い著者っぽくない、神経質な感じがうかがえる。
この時代ですでにクックブック的な作りがされているなど、
現代占星術の父と言われる所以を知ることができる。
・出版社を通じてのモダン占星術の父アラン・レオの初翻訳本。
マニュアル化されてはいるが、その一つ一つの内容は豊富。
現在出版されている占星術書籍のルーツとなる本の1冊だが、
1900年初頭の内容であるので、現在の観点から新鮮であったり、
レオ独特の解釈が興味深い。一度は読んでおきたい占星術書のひとつ。
・ホロスコープ解釈において最重要ともいえる、アセンダントのサイン、
その支配星、支配星があるハウス、
支配星が何座にあるかについて多くの頁が割かれており、
特に「支配星としての惑星が何座にあるか」について解説している点と、
その解釈がとても興味深く重要である。
この本では、ホロスコープ解釈の基本となるパーツの説明やチャートの計算方法などは
完全に割愛され、いきなりディーブな解釈をこれでもかというほどに詰め込まれていて、
とても話しがはやい。
こういったスタイルの本が日本人の手によって書かれてほしいものであると切に願う。
そもそも序文にあるように、この本の目的は、
「科学者、哲学者、オカルティストの見解ではなく、
実践的な占星術家、すなわち、
実際に性格と運命を描写することに従事した者の見解から」書かれている点において、
私は賞賛したい。
・「現代占星術の父」として称えられるアラン・レオであるが、彼の人間性や思想、また功績はほとんど顧みられることなく、もっと再検証されてもよいのではなかろうか?
『アラン・レオの占星術 出生図判断の秘訣』は、レオの著した多くのテキストのうちでも、
最もシステマティックで読みやすい上、彼の宇宙観、
また人間観が随所に垣間見える第一級の資料である。
ネイタル占星術の教科書として現在でも十分に通じる。
ノミネート作品(出版順)
ハウス 天空の神殿
デボラ・ホールディング、 皆川 剛志
太玄社刊
情報量24
論理的整合性20
独自性21
影響度25
その他の良さ19
合計109
西洋占星術の起源─古代ギリシャの占星術
A. ブーシェ=ルクレール、 大橋 喜之
八坂書房刊
情報量24
論理的整合性23
独自性23
影響度22
その他の良さ16
合計108
これまでの受賞作
第4回(2023年8月06日)
『鏡リュウジの占星術の教科書III:深く未来を知る ステップアップ編』
鏡 リュウジ著
原書房刊